朝ゆっくり自分の時間を楽しみすぎて、髪はまっすぐにアイロンで伸ばしたけれど、
メイクする時間が足りず、仕方ない、まずはオーディションの場所に行って、
トイレでマスカラとグロスはすればいいや、と思って出かけたら、まんまと化粧ポーチを忘れた。朝ごはんの果物”りんごとバナナ”はしっかり持ってきてた。
まあいいや、マスカラしたって別に変わらないだろうと(いや、全然違うよ)
潔く諦めて、ストリートカーに乗ったら、住所をメモした紙を忘れたことに
気が付いた。これはまずい。どうしよう。
私は極度の方向音痴なのでスタジオやキャスティング会社に行く時は最低でも
地図を3回は見るようにしている。
最近はちょっとずつ記憶力も良くなってきて、住所は忘れていたけど、ストリート名
だけは覚えていたので、どうにか行けた。
2本目のオーディションは西に12キロぐらいで、そこまで遠いわけでは
ないんだけど、交通の便が悪い。ストリートカーで45分乗ったはいいけど、
目的先まで着かない。おかしいと思っていると
どうやら違うのに乗ってしまったみたいで、泣きそうになりながら歩いた。
10センチヒールのブーツも苦痛だし、スカートもスースーして寒い。腰も痛い。
迷子、もう嫌だワー!!という時に病院を発見!患者のために並んでいるタクシーに乗り込み、
”あそこに行きたいんだけど、10分で着くかしら?どうしても間に合わせないと
いけないの!”と言うと、ドライバーは
”もしプレゼントくれるならいいよ”と言い出した。
”えーーーー????プレゼント?何でもいい?”と言うと”君からもらえるものだったら何でも構わないよ”
私は大きなカバンを開けて何かあげれるものを探した。
ブック(ポートフォリオ)、靴、水、サングラス、何もない。あ、あった!!おやつがあった!!おやつのメープルアーモンド。
彼は7分ぐらいで見事に到着して
”プレゼントは次回でいいよ”と言うから
”いや、あるからあげるわ!”と言って、メープルアーモンドを
渡したら、すっごく喜んだ、でも同時に
”なんだ、電話番号聞こうと思ってたのにな”と言うので
”あら、残念ね。またね!”と言ったら笑って手を振って
”ハッピーハロウィン”と車で去った。
彼のおかげで2本目のオーディションに間に合った。
ガーナ人の運転手さんだった。
明るくて面白かったなあ。